東京都の文化財

よく雨が降りますね。
みなさまのお住まいの方はいかがですか?

山や河川の保水力の限界を超えた量の雨。
自然が年々厳しくなってきたようにも思えます。

どうぞお気を付けて。




さて、
東京都指定文化財の新指定が発表されています。

『東京の文化財』120号

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今回、新たに指定されるものは、
有形文化財(彫刻) 
葛飾区恵明寺の『木造不動明王立像』。

興教大師(1095-1143)の作、との伝え。
修理をしたら、黒い煤の下から彩色下地総切金文様の
美しい表面仕上げがでてきたそうです。

モノクロかと思ったら カラーだった! の驚き


それから、世田谷区奥沢神社の
奥沢神社の大蛇お練り行事』。

9月の第2土曜日に、氏子さんが藁で編んだ
大蛇を担いで歩かれるそうです。

江戸時代から伝わるそうですが、田舎と同様に
都会で行事を伝承するのも難しそうですね。

地域の人の努力が『無形民族文化財(風俗慣習)』と
認められたのは、とても素晴らしい。


名勝として、柴又の『題教寺邃渓園』。
帝釈天の大客殿に付属する庭園。
昭和4年から作庭と新しいながら、震災や大戦を経ても
なお残った秀逸な庭。
貴重です。

また、クロマツの『瑞竜のマツ』も
天然記念物(植物)に指定されました。

上へ上へと伸びる松を、竜が這うように剪定する努力。
このマツがあったから、ここにお寺を建てたという
「逆じゃないの?」
と聞きたくなるくらいの由緒ある松。

ファンのかたも多いと思います。


また、追加して指定するものに
旧多摩郡伊奈村名主石川家文書』331点

個人の所有だそうです。
村役人だったご先祖様がきちんと保管されて、
昔の暮らしや物価を伝える有形文化財(古文書)です。


そして、リーフレットには
小林家住宅』の補修事業について報告も。

東京都西部の山岳地帯、檜原村と奥多摩のあたり
標高750mにポツンとある民家。

山の中だけあって、柱は栗、大黒柱は栂(つが)。
梁は太い杉。
豪華!
炭焼きを家業としていたそうです。


ところで、先日 広大の市民講座で習いましたが、
昔の人の山の暮らしは、今とはずいぶん違うそうです。

まず、住むところは山の麓ではなく中腹。
麓はすぐに日が陰りますが、中腹は気温差が
あまりなく住みやすいそうです。

昔の山は、畑として利用されていて、
結構な確率ではげ山。

山が緑の木々に覆われているのは、
近代の緑化事業の賜物で、
あれも言わば『木の畠』。
植えるものが少し変わっただけです、って。

昔は、民家のある中腹から山頂にかけては、
麦や粟などを栽培。
(理由は、収穫物を上から下へおろせば運搬が楽だったから。)

道路は山の尾根筋。
生活道としてとても便利で、移動も速い。

「誰も 谷底まで降りて、川沿いを行き、
また山に登るような無駄はしない。
いま川沿いにうねうねと道路があるのは、明治政府の役人が
山の暮らしを知りもせず、机上で決めたからです。
古来、日本の山村は雑貨屋もあれば床屋もある
立派な独立共同体だったのです。」

今の人の目で見れば、小林家は"山奥にポツン"ですが、
実際は交通の要所、
尾根が3本も交わるとなっちゃ、渋谷のスクランブル交差点なみです。

山岳民家の保存と研究は、過去を知り学び、
また未來の私たちの新しい暮らしへの
大きなヒントになりそうです。


国宝級の物も有り難いですが、
文化財級のものは
人間の暮らしのリアル、妙味を伝える稀有な存在。


東京都の文化財を守る姿勢は素晴らしいと思います。
今は色々大変でしょうが、行政は市民の暮らしを守る大事なお仕事。
がんばってくださいね。







by Taseirap | 2016-06-23 07:30 | 東京 | Comments(0)

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