前園さんの講演会で

先週、元サッカー選手の前園真聖さんの
講演会に行きました。

前園さんはさすが 視野が広い方で、
その場の状況を掴むのが早いです。
当日は司会の人と手話通訳さん。
それに、要約筆記の画面も
会場右手にありました。

前園さんは、
「僕の講演会に(要約)筆記がついたのは
初めてです」
と言われ
「どこに出ていますか?」
会場を探され
「あ、ここにありますね」
と、さりげなく来場者に紹介されていました。
頭の良い人ですね~。

東広島市は、今年の4月から手話言語条例と
コミュニケーション条例が施行。
公の行事等には、可能な限り
手話通訳と要約筆記が付くようになりました。

手話は皆さまよくご存じ。
聴覚障害のある人、
『自分はろう者である』と自身のアイデンティティーを
決められた人の言語です。
ろうは、聾。
龍の耳と書きます。
『龍は、身体が大きいのに耳が小さく
音がよく聴こえなかったことから
聾の字ができた』とも云われますが、
ほんとかどうかは知りません。

豊かな言葉の世界が、手話にはあります。

要約筆記は、その場の音声言語(ことば)を
文字言語(文字)に変えて出す通訳。
映画の字幕のイメージです。

人が 生後すぐに聴覚の障害がわかれば、
周囲は様々な対応をし、
生育過程において手話を獲得し、
手話による言語世界が広がります。

(その昔は、ろう学校での手話は禁止され、
健聴者の社会に適応できるようにと、
口話(発声)の練習を厳しくしたそうです)

人生の途中で難聴になられた人の場合は、
音声を聴いた経験から、言葉は話されます。
ストレプトマイシン等の副作用で、幼少期に
難聴になられた方の話を聞いたことがあります。
発音は私よりきれいでした。

難聴者の手話の獲得は、人にもよりますが、
難しいようです。
補聴器で聴こえるなら、それでまかなえるので。
ただ、難聴には、ものすごく個人差があり、
体調によっても 聞えは大きく変わるそうです。
普段は 補聴器を使えば、とてもよく聴こえる人でも、
たくさん人が居るところでは
聞き取りにくいことがあるそうです。

高齢者が増え、自然と 聞き取りが
難しくなる人も増えています。
(加齢による難聴は、どんなに聴こえなくても
障害者手帳は給付されず、介護保険の適用になるそうです)

そんなときに 助かるのが、
1分間に300文字話す人の言葉を
手書きで60文字くらい
(パソコン入力なら120文字)に
要約して文字化する『要約筆記』です。
速記ではないので、読める字で書かれています。

全ての言葉を書くことはできないので、
『音の意味』と『文字数』の最短距離を結ぶ。
仏師が像を掘るように、話し手の文脈に沿って
ひと彫り、ひと彫り無駄のない言葉を刻み
その場のすべての大事な話を
聴こえない人に届ける通訳(ある人の理想)
だそうです。

前園さんの講演会で_c0325278_19273000.jpg


前園さんの話に戻ります。

前園さんは、サッカーを引退後も
順調に お仕事が来ていたものの
お酒で事件を起こして、謹慎。
今まで周囲にいた人が サーっと居なくなったそうです。

そんなときに、去らずに助けてくれたのは
サッカーの仲間。
欠けた仕事を埋めてくれて、相手側に迷惑にならないように
支えてくれたそうです。

謹慎期間があけて、仕事に復帰した時、
腫れ物にさわるかのような周囲の態度に
きちんと謝罪もできず、しばらく辛かったそうです。

そんななか『ワイドなショー』という番組で
ダウンタウンの松本人志さんが
緊張で、目の前の烏龍茶を一気飲みした前園さんに
「さっそくウーロンハイ、一気飲みですか?」
と、いじってきてくれて
「違います!」
続けて 反省と謝罪と今後の禁酒を
自分のことばで話せて
やっと肩の荷が降りたそうです。
翌週から あろうことかバーテンダーの格好で
レギュラーになってしまい、
よく分からないまま 現在に至る。
「でも、本当に感謝しているし、信頼関係があります」

事件前は、
『講演会で話すのは苦手だ』
と思っていて、仕事に対して
『これはできる。 これは難しい。』と
自分で判断していたけれど、
『自分の評価は自分が決めるものではない。
周囲が決めることだ』
と思ったそうです。

僕にできると相手が思われたから、
仕事がきた。
僕に任せてみようと思ってもらえて、
チャンスが貰えた。
だから、自分は
『今』の仕事を 一生懸命するだけだ。

選手時代は、うまくいかないときに
お酒を飲んで憂さ晴らしをしていた。
でも、その時は楽しくても、
一晩あけてみると
状況は何も変わっていなかった。
お酒で気分転換はできるけれど、問題解決はできなかった。

失敗をどんなに悔やんでも、過去は変えられない。
失敗もひとつの経験として、
過去や未来を思わずに、
いまあることを 一生懸命やろうと思う。

ということを、話されました。

… たぶん、こんな感じでした。
私には 要約は難しいです。







by Taseirap | 2019-12-15 07:30 | 日々の暮らし | Comments(0)

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